けんしんです。
予定調和と言えば、予定調和だけど、3月12日の英議会で、EU離脱案が否決された。
予め示されていたスケジュールは下記の通りで、トップバッターの「EUと合意された離脱案」が否決された形である。
3/12 EUと合意された離脱修正案の採決 ←否決
3/13 合意なき離脱案の採決
3/14 EU離脱日の延期の採決
市場では可決の期待も出ていた
12日での離脱案の採決に合わせ、メイ首相がEUのユンケル委員長が離脱条件の見直しで合意していた。これにより、市場では修正離脱案が英議会で可決されるのではという思惑から通貨ポンドが急騰していた。
しかし、結局は英議会では、賛成242・反対391という大差での否決となった。
(前回の賛成202、反対432より差は縮まる)
思惑が外れ、ポンドは再び下落することになった。
争点は北アイルランド国境問題
EU離脱で問題になっているのは、アイルランドと北アイルランドの国境問題である。英国がEUを離脱すれば、アイルランドと北アイルランドとの間に国境が復活し、自由な往来が出来なくなる。
この場合、EUという枠組みで機能していた両地域が再び分断されることとなり、かつて北アイルランドで起こった宗教対立が復活するのでは?という懸念が出てきている。
北アイルランドはプロテスタントが多数派のため、英国に止まっているが、一方で4割がカトリックで同じ宗派のアイルランドとの統合を求めていた。
現在、アイルランドとの自由な往来が認められていることでカトリックの不満を抑えているが、国境が復活すればカトリックの不満がまた爆発し、宗教対立が再燃するのではないかという懸念がある。
そこで、北アイルランドのみ一時的にEUの枠組みに置き続ける形で、英国とEUで交渉しているが、この場合、英国本土と北アイルランドの間で線が引かれることになり、英国の分断に繋がる。
こうした状況に英国の離脱強硬派が反対。離脱反対派はそもそも離脱案には賛成しないということで反対多数となった。
次は、合意なき離脱案の採決
今回、修正離脱案が否決された事で、次に採決されるのは「合意なき離脱案」である。
しかし、これは英国経済に混乱をもたらすものであり、可決されるとは到底思えない。
本件も否決され、離脱延期の採決に向かうのではないかと思う。
問題は、離脱延期採決がどうなるかというところ。この状況になれば、延期しか選択肢がないと思うが、延期したとしても、折り合えるのだろうか。堂々巡りで、問題が長期化するだけのように思う。
私個人としては、メイ首相が否決後に述べた言葉が正しいと思う。
メイ首相は採決後、「合意なき離脱に反対票を投じ、離脱延期に賛成票を投じたからといって、われわれが直面する問題は解決しない。最善の結果は英国が合意の下で秩序立った形でEUを離脱することであり、われわれが取り決めた離脱案が最善で、得られる唯一の案だと引き続き信じている」と訴えた。
出典:ブルームバーグ
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