けんしんです。
最近、米中貿易戦争で円高株安が進んで苦しいですが、また新しい問題が発生しました。
何とアメリカが、不法移民の流入を理由にメキシコからの輸入品に5%の関税を課すとのこと。
トランプ大統領がメキシコからの輸入品に5%の関税を課すことを表明
トランプ米大統領は30日、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課すとし、同国からの不法移民の流入が止まるまで実施する考えを示した。
トランプ氏はツイッターに「不法移民問題が解決するまで関税を段階的に引き上げる。解決すれば関税は撤廃する」と投稿した。
ホワイトハウスが発表した声明でトランプ氏は、関税率は7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げられると説明した。
引用元:ロイター
この発表によりリスクオフが進み、円高株安の流れに…
特にメキシコペソは一気に下落しました。
まさに寝耳に水の制裁関税
まさかこのタイミングで関税引き上げが来るとはという感じですね。
今、アメリカは中国との貿易戦争やイランとの対立に集中していて他の地域は後回しというイメージでした。
しかも、メキシコとは新NAFTAで合意しており、大きな対立はないだろうと踏んでいました。
3方面作戦を取ったこともそうですが、矛先をメキシコにした事も意外でした。
個人的には、可能性が高いのは、ロシアにすり寄っているトルコだと思っていました。
貿易額が大きい所を狙ったのかもしれませんね。
また、段階的に関税を引き上げる手法も恐ろしいですね。
不法移民の解決は一朝一夕ではいかないと思いますが、放置すれば更に関税が引き上げられます。
メキシコは苦しい立場に立たされたと感じます。
日本企業への影響も心配
今回の関税の影響は日本にも及びます。
と言うのも、日産やマツダを始めとする日本企業も多くメキシコに進出しているからです。
もともと、メキシコはアメリカに隣接しており、地理的に対米輸出適しています。
加えて、昨年度のNAFTA再交渉で、自動車輸出の関税ゼロの条件として、下記の条件が定められました。
①NAFTA域内の現地調達率を62.5%→75%へ引き上げ
②自動車の40%-45%を時間賃金が16ドル以上の地域で生産
①はNAFTA内での生産比率を上げることから、アジアなどの他地域の生産が不利になります。
②で時間賃金の下限を設けることで、人件費の安いメキシコでの過度な生産を防ぐことになります。
以上から、日本の自動車各社はメキシコでの生産について安堵していたと思いますが、まさかこのタイミングで関税発動。なかなか厳しいですね。
ちなみに、メキシコでの2019年4月の自動車販売数は下記のようです。
トヨタ:15,161台
ホンダ:17,534台
日産:46,364
ただでさえ苦しんでいる日産が一番ダメージでかいですね^^;
ただし、GMが同時期10万台程生産しており、ダメージはアメリカの自動車会社の方が大きいイメージです。
個人的にはあまり世界経済に影響しないと思うのだが…
メキシコへの関税発表で当日の株式市場は大きく下げました。
NYダウは1.4%マイナス、S&P500は1.3%マイナス、ドル円も1円以上円高が進むなどかなりリスクオフが進みました。
S&P500のヒートマップも真っ赤っかです。
公益と(何故か)REIT以外は全滅といった感じですね。
ただし、個人的にはここまで下げるのは解せないところであります。
①メキシコは中国より対米輸出額が小さい(中国の6割程度)
②メキシコの経済規模も小さい(中国の10分の1程度)
③今回の関税も5%と大きくない
正直、世界経済への影響は大きくない気がするのですが、株価は大きく下げました。
やはり、米中貿易戦争で市場心理が悪化していた所に、思わぬ方向から悪材料が来たため、市場が右往左往したのでしょうか??
個人的には「そこまで反応しなくても…」とは思うのですが、株式市場は思い通りにならないものなので仕方ありません。
「ふて寝すること山の如し」の精神で耐え続けようと思います。
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