けんしんです。
5/30にトランプ大統領が突然、不正移民を理由にメキシコからの輸入品に追加関税を課すと発表しました。
まず、6/10に5%の関税を課し、7/1・8/1・9/1・10/1に5%ずつ引き上げ、最終的に25%にするという恐ろしい内容です。
これを受けて発表翌日(5/31)の株式市場は大きく崩れました。
トランプ大統領がTwitterで収束を宣言
この問題を巡り、アメリカとメキシコとの間で協議が続けられていましたが、6/7にトランプ大統領が不法移民対策でメキシコと合意し、制裁関税を無期限で停止すると発表しました。
I am pleased to inform you that The United States of America has reached a signed agreement with Mexico. The Tariffs scheduled to be implemented by the U.S. on Monday, against Mexico, are hereby indefinitely suspended. Mexico, in turn, has agreed to take strong measures to....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年6月8日
これを受けて、株価が上昇し、金利も上昇しました。
(パウエルFRB議長が利下げを示唆したことから、先週から上昇を始めていましたが)
共和党内ですらメキシコへの制裁は反対論が強かった点も踏まえれば、メキシコとの摩擦は一先ず収束とみて良さそうです。
マッチポンプ感は否めないが手法としては見事
トランプ大統領のやり方は、はっきり言ってマッチポンプ(自分で火をつけて自分で消すこと)ですが、手法としては見事だと思います。
当方の思いつく限りでは下記のような効果があります。
1.対アメリカ国民
→問題解決力の高さをアピール
2.対FRB
→利下げの言質を取る
3.対中国
→貿易戦争で妥協すれば、関税解除することを示唆
4.対日本、EU
→貿易交渉次第では、制裁も辞さないという警告
特に、対FRBが一番の成果だと思います。去年、FRBは多少強引に利上げした経緯を見れば、基本的に利下げをしたくないと思います。
しかし、最近、株式市場・債券市場共に利下げ大前提で価格形成が進んでいる以上、利下げせざるを得ない状況に追い込まれています。
この方法を乱用しないか心配になる
このやり方は見事ではあるのですが、今後も続ける可能性を思えば心配になります。
今回のメキシコやFRBのようにトランプ大統領のように狙い通り動いてくれれば大丈夫ですが、徹底抗戦されたら世界経済に大きな影響を与えます。
味を占めて多用することがないよう望みたいところです。
まあ、徹底抗戦されても、叩き潰すだけなので問題ないと考えているかもしれませんが。
個人的には、矛先が日本に向くことを一番恐ろしいですね。
日米貿易では日本側の利益が大きい事や、安全保障をアメリカに依存する手前、日本はアメリカには強く返せないと思います。
あとは、リラを持つ身としては、トルコに矛先が向くのも困りますね。
トランプ大統領には大人しくして欲しいところです(^_^;)
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