けんしんです。
米国株式市場が大幅に下落し、どんよりした気分で迎えた8月6日(火)の朝、追い打ちをかけるバッドニュースがありました。
先週の対中関税第4弾に続いての措置で、中国との対立が一層激化することになりました。
- アメリカが中国を為替操作国に指定
- 為替操作国とは
- 中国が人民元安容認、米国産農作物輸入停止
- トランプ大統領は大統領選で中国を為替操作国に指定すると主張していた
- 今後の展開はどうなるか
- 運用については「動かざること山の如し」
- 関連記事
アメリカが中国を為替操作国に指定
ムニューシン米財務長官は5日、中国を「為替操作国」に認定したと発表し、中国による不公平な競争を排除するため、国際通貨基金(IMF)に働き掛ける方針を明らかにした。
米国が中国を為替操作国に認定するのは1994年以来。
中国人民元は5日、過去10年余りで初めて1ドル=7ドルを超える元安水準を付けた。
米財務省は、中国人民銀行(中央銀行)の5日の声明により、中国当局が為替相場を大いにコントロールしていることが明白になったとの見方を示した。
引用元:ロイター
米中貿易戦争は今まで関税を軸とした争いだったので、為替でバトルが始まったのは本当に意外でした。
為替操作国指定の背景には、中国が元安を容認したことがあるようです。
為替操作国とは
為替操作国とは、対米貿易を有利にすることを目的に為替介入し、為替相場を不当に捜査している国として、アメリカが認定した国のことを指します。
為替操作国に認定された国は、アメリカとの二国間協議が行われ、通貨の切り上げが要求される。交渉が上手く行かない時など、状況に応じてアメリカが認定国に制裁関税をかける事があります。
過去に1980年代から1990年代にかけて、台湾、韓国、中国が指定されたことがあります。
また、為替操作国の手前の段階として、アメリカは為替監視リストを公表しています。
現在対象となっているのは、日本、中国、ドイツ、韓国、台湾、シンガポール、イタリア、アイルランド、ベトナム、マレーシアです。
中国が人民元安容認、米国産農作物輸入停止
8月1日にトランプ大統領は、対中関税第4弾として、中国からの輸入品3000億ドル分に10%の関税を課すと発表しました。
関税発動の理由は、中国が約束した米国産農作物の輸入が実施しなかったこと、背景として米中貿易交渉の進展が見られないことがあります。
これに対し、中国は対抗措置として、米国産農作物の輸入停止を発表、また11年ぶりの元安水準(1ドル=7元)を容認しました。
共和党の票田の一つが農家であるため、米国産農作物の輸入停止はトランプ大統領にとって打撃となる可能性があります。また、トランプ大統領は他国の通貨安を攻撃するなど、為替に対して敏感です。
今回の中国の措置はトランプ大統領の弱点を適切についたものと言えるでしょう。
トランプ大統領は大統領選で中国を為替操作国に指定すると主張していた
これに対し、トランプ大統領は中国を為替操作だと非難、為替操作国に認定するに至りました。
実は、トランプ大統領は大統領選で、中国を為替操作国に認定し、関税45%を課すと主張していました。
ただし、為替操作国に指定するには下記の3つの条件をすべて満たす必要があるとされ、すべてを満たさない中国は結局指定されずにいました。
①対米貿易黒字が年間200億ドル以上
②経常黒字額がGDP比で3%以上
③為替介入により自国安通貨に導いていること
中国は、条件②を満たしていないのですが、今回指定したという事は条件を曲げたという事かもしれませんね。
トランプ大統領の強い怒りを感じます。
今後の展開はどうなるか
さて、気になるのは今後の展開です。
発表後の動向について振り返っていきます。
日本時間で切り返す
このニュースを聞いた時、投資家にとって厳しい事になると覚悟しました。
今までの関税合戦ですら折り合わないのに、為替操作国とはまた新しい次元での戦いになるからです。そろそろ反転を期待していたのですが、無理だろうなと思ったところでした。
実際、発表を受けて、NYダウが先物で300ドル近く下落、ドル円も1ドル=105円に突入しました。
しかし、意外にも日本市場で下げ止まります。日経平均も最安値で600円下落となりましたが、後に切り返し、150円安の20,565円で8/6の取引を終えます。
また、ドル円も一時1ドル=107円を回復します。
正直、何があったのか???になりましたね。
米国時間でも上昇を維持
さて、日本市場でいくら盛り返しても米国市場で下落すれば日本株も引きずられます。
そう言う意味で昨日の米国市場は非常に重要でした。
実際のところ米国株式市場は上げて始まり、終値でもNYダウ+1.21%、S&P500+1.30%、ナスダック+1.39%と高値で終えました。
どうやら中国当局が「人民元の下落は続かない」と投資家の不安払拭に努めた事が上昇の背景のようです。
S&P500のヒートマップも上昇(緑)が大半です。
エネルギーセクター以外はほぼ上昇と言って良い状況です。
運用については「動かざること山の如し」
今後どうなるかについては、正直読めません。
早期の米中妥結は難しいと思いますが、対立の激化を上手くマネジメント出来ればそこまで酷いことにはならない可能性もあります。
実際、対立激化で市場が混乱した際は米中当局が火消しに走る事がよくあります。
ただし、今回、米中対立の戦線が拡大した点は注意が必要です。
今後は通貨戦争の様相を呈する可能性も意識した方が良さそうです。
また、中国も報復関税が使いにくくなった点を踏まえれば、米国債の売却という方法を取ってくる可能性があります。
そう思えば、悪くなる方をメインシナリオに据えた方が賢明とは思いますが、どうなるか分からないからこそ、自分のポジションを信じ、軽々に動かないようにしようと思います。
幸いにも含み益は潤沢にありますし、ポジション調整をコツコツと進めて来ました。
多少の下落なら支障ありません。
まずは状況の見極めに全力を注ぎ、そこから運用を決めていきたいと思います。
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