けんしんです。
先週金曜に、政治面・経済面で大きな動きが出ました。
米中貿易戦争の激化と、それに伴う株安円高の流れです。
発表を受けて、先週金曜の米国市場・本日の日本市場で2~3%も株価が下落し、ドル円も106円台⇒104円台へと大きく円高に振れました。
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演内容に焦点を当てていた投資家にとって、虚を突かれた形になりました。
- 中国がアメリカに750億ドル相当に10%の追加関税を発表
- アメリカ側も応酬
- アメリカと中国はどちらが対立激化に耐えられるか
- アメリカ優位と踏んでいたがそうとも言い切れないかもしれない
- 方針は変わらずだが下げは意識しておこう
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中国がアメリカに750億ドル相当に10%の追加関税を発表
株安・円高の引き金を引いたのは、中国がアメリカに追加関税を課したことになります。
米製品5078品目750億ドル相当に最大10%の関税を課すというもので、9月から1717品目に5~10%、12月から3361品目に5~10%の追加関税が実施されます。
この追加関税は、アメリカ⇒中国への制裁関税第4弾への報復となります。
アメリカは、9月1日から中国製品1500億ドル相当に10%、12月15日から1500億ドル相当に10%の追加関税を課すと発表していました。
こうした米国の措置に対し、中国は対抗すると警告しており、今回実施した形となります。
この制裁関税は、パウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演にぶつけて来ています。
ハト派の発表⇒株高の流れを潰しに来たと考えられ、非常に強かであると感じています。
アメリカ側も応酬
これに対し、トランプ大統領が激怒。この中国の措置に対し、関税・アメリカ企業への呼びかけという2方面で更なる報復を発表しました。
関税
現在、アメリカが既に中国製品に課している関税を25%→30%へ引き上げられました。
また、9月&12月から課す追加関税第4弾は、税率10%と発表されていましたが、これが15%に引き上げられる形となりました。
中国からの撤退指示
トランプ大統領は追加関税に加えて、中国に進出するアメリカ企業に対し、拠点を中国⇒アメリカに戻し、中国の代替先を探すように指示しました。
トランプ大統領のtweetを見ても今回の中国の措置に対する大きな怒りを感じます。
米中貿易戦争の解決は難しいとは思っていましたが、解決どころか対立が行きつくところまで行くのではないかという危惧も出てきます。
アメリカと中国はどちらが対立激化に耐えられるか
今回のトランプ大統領のこの指示に対し、経済界からは不満の声が上がっているようです。
政治体制的には中国の方が耐久力がある
国家の統制力が強い中国に対し、アメリカは民主主義なのでアメリカの方が反対の声が出やすくなります。こうした声に対し、政治は選挙があるため無視することは出来ません。
反対意見を抑え込める中国に対し、反対意見に配慮せざるを得ないアメリカ。対立が激化した場合、アメリカの方が「もう止めよう」という声が出やすくなります。
政治体制的な耐久力は、中国>アメリカと言って良いでしょう。
経済的にはアメリカの方が耐久力がある
一方、経済的にはアメリカが中国に勝ります。
経済規模的にもアメリカの方が大きいですし、現在の貿易戦争が起こっている中でも中国の指標・株価下落と比べて、アメリカの方は軽微にすんでいます。
また、中国⇒アメリカへの輸出額>アメリカ⇒中国への輸出額であることから、関税で売れなくなって困るのは中国の方です。
以上から、経済的な耐久力は、アメリカ>中国となります。
アメリカ優位と踏んでいたがそうとも言い切れないかもしれない
アメリカと中国の貿易戦争への耐久力は政治的な面と経済的な面の複合で決まると考えています。
私としては、経済力との差でアメリカが圧倒的に優位という認識でしたが、そうとも言い切れないと考えを改めつつあります。
貿易戦争が激化したら最終的なダメージが大きいのは中国であるという認識は変わりません。
しかし、中国は国家統制が効くという観点で言えば、どれだけ国力が落ちても国としては妥協せず突き進むことが可能です。
かつて、毛沢東は核戦争論で「核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。」と語ったと言われています。
中国は内部闘争・権力争いが激しい歴史を鑑みれば、自らの失脚を招きかねない状況は避けたいはずですが、一枚岩になった中国は侮れないものがあります。
習近平国家主席が失脚する可能性もないわけではないですが、現状ではその可能性は低い気がしています。
これに対し、選挙という洗礼があるアメリカは過度な悪化は許容できません。
どうしても選挙を意識し、対立激化や経済情勢をマネジメントする必要があります。
中国が一枚岩となり、全面対決を決意した場合、選挙というアキレス腱があるアメリカにとって厳しい状況に追い込まれます。
中国としては、自国の方がダメージが大きかったとしても、アメリカにも打撃を与え、トランプ大統領さえ落選させてしまえば、対中温和な民主党大統領との対話となり、有利な条件で妥結することが出来ます。
個人的には、以前と比べてアメリカに余裕がなくなっていると考えています。
方針は変わらずだが下げは意識しておこう
個人的には、想像以上に貿易戦争のエスカレートの度合いが激しい印象です。
長く続くという事は意識していましたが、激しさが想像以上です。
経済への悪影響をより厳しめに見ておいた方がいい気がしますね。
個人的には、株式のポジションの維持という大方針は変わらないものの、配当再投資については暫くストップした方がいいかな?とは思い始めています。
留まるところを知らない貿易戦争の高まりを見ていると、どうしても経済の先行きに対してネガティブになってしまいます。
ただし、今までも楽観と悲観を繰り返し、上がったり下がったりしているので、またすぐに上昇する可能性もあります。実際、金曜の急落後、先物が更に300ドルも下げていましたが、現在は値を戻しているようです。
今後も市場は乱降下すると思われ、今売却するのは、賢明な撤退になる可能性がある反面、逆に底値売りとなる危険性もあります。
どちらが正解か見通すことは難しく、非常に厳しい相場です。
ただし、今までは「動かざること山の如し」のスタンスでしたが、今後も下げ続けた場合このスタンスを保てる保証はありません。
逃げる時は逃げるという姿勢は持っておきたいと思います。
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少し前まで「動かない」という方針でしたが、今は防御を重視しようと思います。
私の主力銘柄のマイクロソフトも苦戦しています。